保険診療
乳児血管腫(いちご状血管腫)
多くは自然に小さくなりますが、瘢痕や変形を残すことがあるため、増大期のコントロールが大切です。色素レーザーと必要に応じた内服治療で安全に対応します。
乳児血管腫の特徴
生まれた直後には目立たなくても、生後間もなくみるみる増大するのが乳児血管腫(いちご状血管腫)の特徴です。 皮膚の表面に現れるタイプは鮮やかな赤色を呈し、深い部分にできるタイプは皮膚の下のしこりとして触れることがあります。
自然に小さくなるケースもありますが、萎縮したしわや瘢痕を残したり、潰瘍を生じて傷跡が残る場合があります。 経過観察だけでは不安が残るときは、レーザー治療で増大を抑えつつ皮膚を守ります。
- 生後数日〜数週間で出現し急速に増大する赤い盛り上がりで、表在型は鮮紅色、深在型は皮下のしこりとして触れます。
- 自然退縮も期待できますが、しわや瘢痕、潰瘍を残すことがあるため早期にレーザーで増大期を抑えることが大切です。
- 視力や整容・機能への影響が心配な部位ではヘマンジオル®内服を併用することがあり、小児科との連携管理が欠かせません。
治療を急ぐケース
- 目や鼻、口の周囲にあり視力や呼吸機能への影響が懸念される場合
- 女児の乳房や外陰部など、瘢痕が整容・機能に影響しやすい部位
- 潰瘍や出血を繰り返し、強い痛みを伴っている場合
レーザー治療の流れ
- 増大傾向が強い時期は 1 か月ごとの短い間隔で色素レーザー(Vビーム)を照射し、増殖を抑えます。
- 退縮期に入ったら 2〜3 か月ごとに間隔を調整し、残る色むらや質感を整えます。
- 潰瘍や出血がある場合は創傷処置を優先し、炎症が落ち着いてから照射します。
内服療法との併用
重症例では β 遮断薬シロップ(ヘマンジオル®)の内服治療を併用します。導入時には小児科での入院管理が必要になるため、 適応がある場合は連携する小児科をご紹介し、レーザー治療は当院で継続します。
フォローとアフターケア
- 照射後は紫斑やかさぶたが出るため、軟膏とガーゼで保護し入浴や摩擦を避けます。
- 退縮後も皮膚のたるみや色素沈着が残ることがあり、成長に合わせて再照射やスキンケアをご案内します。
- 瘢痕が目立つ場合は形成外科的治療や追加治療をご提案し、必要に応じて他科と連携します。
リスク・副作用
- 紫斑・水疱・炎症後色素沈着が生じることがあります。
- 内服併用時は低血糖や徐脈のリスクがあり、定期的な診察が必要です。
- 瘢痕や皮膚萎縮が残る場合があります。