保険診療
異所性蒙古斑の治療
お尻以外に出現した蒙古斑は自然消退が期待しにくく、保険適応でレーザー治療を計画します。麻酔方法を工夫し、年齢や生活に合わせたスケジュールをご提案します。
異所性蒙古斑とは
- お尻以外に生じる青あざで、自然には消退しません。
- 成長に伴い薄くなることもありますが、完全に消すにはレーザー治療が必要です。
- ピコレーザーは痛みと色素沈着リスクを抑えながら治療できるのが特長です。
生まれつき真皮に集まったメラノサイトが原因で青く見えるあざです。成長とともに薄く感じることはあっても、完全に消えることは稀なため、見た目が気になるときは治療をご検討ください。
よくご相談いただくこと
- 治療を始めるおすすめのタイミングは?
- 治療回数や期間はどのくらい?
- 白抜けや色素沈着のリスクはある?
診察時には肌質・部位・生活に合わせて治療間隔や麻酔方法をご提案します。
治療に使用するレーザー
異所性蒙古斑は真皮にある色素が原因で青く見えます。レーザー治療では異常な色素だけを選択的に破壊し、周囲の組織へのダメージを最小限に抑えることが重要です。
従来はナノ秒単位のパルス幅をもつ Q スイッチ付ルビーレーザーやアレキサンドライトレーザーが用いられてきました。現在はさらにパルス幅が短いピコ秒レーザーが登場し、色素沈着などの合併症が少ないと報告されています。
当院ではピコレーザー「エンライトン SR」を採用し、痛みやダウンタイムを抑えつつ確実な色素破壊を目指します。
ピコレーザーのメリット
- 極めて短いパルスで真皮の色素を狙い、正常組織の損傷を抑えます。
- 炎症後色素沈着や白抜けのリスクを低減しやすい設定が可能です。
- 痛みが少ないため、幼児でも治療に臨みやすいと評価されています。
治療対象の考え方
異所性蒙古斑は自然に消えない一方で、成長とともに「引き伸ばされて」薄くなることがあります。そのため、将来も残りそうな濃さ・広さかどうかを見極めたうえで治療を提案します。
気になる範囲が狭い場合は早めの治療で回数を抑えられることが多く、広範囲の場合は複数回に分けて照射し、日常生活への負担を減らします。
ご相談のポイント
- 保育園・学校行事との兼ね合いを考えた通院スケジュール。
- 将来的な薄まりをどこまで許容するかというご家族の希望。
- 白抜けが目立たない仕上がりをゴールにするかどうか。
治療開始のタイミング
治療は乳幼児期から大人までいつでも可能です。乳幼児期〜3歳頃までに開始すると、皮膚が薄くレーザーが到達しやすいため、少ない回数での改善が期待できます。
一方で幼児は治療への恐怖心が強く、2歳を過ぎると体の動きも活発になるため、安全に照射する工夫が欠かせません。タオルなどで体勢を支えつつ短時間で終えられるよう計画します。
学齢期以降の治療
小学校中学年以降になると、本人のモチベーションが治療の継続に大きく影響します。麻酔クリームを併用し、事前に照射感を説明することで治療を乗り切るケースが増えています。
大人になってから治療を始めることも可能ですが、白抜けが目立ちすぎないよう薄く残すゴール設定を共有します。
麻酔と痛み対策
小範囲の場合は麻酔クリームを塗布して 20〜30 分程度待つことで、痛みを大きく和らげられます。ピコ秒レーザーは従来機より痛みが少ないのも利点です。
広範囲を一度に照射する場合や安静を保つことが難しい場合は、全身麻酔を選択することもあります。必要に応じて全身麻酔でのレーザー治療が可能な提携施設をご紹介し、入院も含めたスケジュールを検討します。
照射の進め方
- 1〜3 か月おきに照射し、経過を見ながら設定を調整します。
- 一度に広範囲を照射せず、複数回に分けることでストレスを軽減します。
- 照射後は軟膏とテープで保護し、こすらないよう注意します。
治療回数とリスク
治療回数は年齢・濃さ・部位によって異なりますが、数回から 10 回程度になることが多いです。将来の体の成長で薄くなった時点をゴールとし、白抜けが目立たない範囲で照射を終了するケースもあります。
- 紫斑、水疱、赤みなど一時的な反応が出ることがあります。
- 炎症後色素沈着や白抜けが残る場合があります。
- まれに瘢痕化する可能性があるため、異常を感じたらすぐにご連絡ください。
治療を迷われている場合でも、一度診察でご相談いただければ日常生活や将来の見通しを踏まえてご提案します。