保険診療
毛細血管腫(単純性血管腫)
毛細血管の形成異常によって生じる赤あざで、生後早い時期から広がりやすく、自然には消えません。 定期的な V-beam 照射で赤みと血管の厚みを少しずつ抑えていきます。
毛細血管腫とは
毛細血管が密に走行する皮膚の形成異常で、平坦に見えるものから、時間の経過で盛り上がり結節化してくるものまで幅があります。 単純性「血管腫」と呼ばれますが、腫瘍ではなく血管の構造異常です。
自然に消失することはほとんどなく、数年単位で範囲が広がったり、厚みが増したり、日常の刺激で出血してしまう場合があります。 色素レーザーで症状を軽くできますが、完全に目立たなくなる症例は多くありません。
治療が必要になるケース
- 整容面で赤みや色むらが目立ち、日常生活で気になる
- 経年で盛り上がりや結節が出てきて、衣類との摩擦やケアが難しくなる
- 軽い刺激で出血しやすく、止血に時間がかかることがある
関連疾患のチェック
まれに脳・眼・四肢などに他の血管異常を合併することがあり、スタージ・ウェーバー症候群や クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群などを念頭に MRI などの精査が必要になるケースがあります。
治療回数と通院プラン
- V-beam はおおむね 3 か月に 1 度の間隔で照射し、徐々に赤みと血管のボリュームを抑えます
- 改善までに二桁の照射回数が必要になる症例も珍しくありません
- 「完治」ではなく、症状をコントロールし落ち着いた状態を保つことを目標にします
通院継続のポイント
一度の照射で大きく変化しなくても、定期的に受けていただくことで赤みや血管の厚みをコントロールできます。 不安や生活上の制約がある場合は、通院サイクルや照射設定を柔軟に調整します。
乳幼児期から始めるメリット
- 乳幼児期の皮膚は薄くレーザーが病変に届きやすいため、少ない回数でより高い効果が期待できます
- 成長とともに血管が太く厚みを帯びる前に治療を始めることで、隆起や出血リスクを抑えやすくなります
照射後のケア
- 照射部は紫斑や軽い腫れが出るため、冷却と軟膏で保護します。
- 日焼けは色素沈着の原因になるため、紫外線対策を徹底してください。
- 出血が続く場合は清潔なガーゼで圧迫し、早めに受診をお願いします。
毛細血管腫に対する色素レーザーの限界
- 色素レーザーの技術革新は V-beam II(Perfecta)世代で大きく進歩しましたが、すべての症例を完全に消失させることは難しいままです
- 難治例では最上位機種の V-beam Prima を検討しますが、それでも反応が乏しいケースがあります
- 照射条件の調整は高度な経験が必要なため、必要に応じて毛細血管腫治療に習熟した医療機関をご紹介します
照射設定は反応を見ながら細かく調整します。難治性の場合には、V-beam Prima を備えた施設や 毛細血管腫治療に習熟した先生への紹介を含めて、最適な選択肢をご提案します。